ヨットレースについて

自分は、何故こんなにヨットレースが面白いと思うのか?2つの理由があります。
ご存知のとおりヨットは風の力だけで進むものです。もちろんレース中にエンジンを使うことはできません。自然を相手にした乗り物ですから、風の向きも潮の流れも変化します。
ブレーキもありません。相手の風下に入ってしまうと風が弱くなり遅くなってしまいます。
相手艇にぶつける事もできません。2艇が出会ったときの優先権などのルールがあります。
風のある場所も刻々と変化します。普通にクルージングするだけなら問題ありませんが、速く走らせる為の技術としてこれら変化の予測をし、それに合わせた走り方をしないと速くは走れません。
今まで私が行ってきたスポーツの中で、もっとも頭を使うスポーツだと思いました。
私の障害は首から下、両手、両足に障害があります。自分で服を着るのも、頭を洗うのも大変です。
でも、健常者のヨットレースの中に入ってレースをしています。確かに多少のハンデがあることは事実ですが、いつもビリではありません。これは筋力のみではなく、判断力・知識・作戦も重要だからで、レース中は障害あるなしは関係ありません。この複雑さと、ボーダーレスが1つの理由です。

もう1つの理由は自分のメンタル面の変化です。
私の場合、健常者と体力で競うスポーツでは太刀打ちできませんから、今までは障害者というカテゴリーの中でのスポーツしかしていませんでした。相手はボランティアで集まった人達ではない一般の人。
最初はその中に入っていくことに不安はありました。でも案外入ってみると自然に付き合える。
レース後の打ち上げで盛り上がり、普通に立ち話ができる。結局ボーダーを作っていたのは自分だと気づきました。多分、周りの人も障害者の見方が変わったと思いますよ。

もちろん障害者カテゴリーのスポーツを避けているわけではありません。自分でも障害者のヨットレースに出ています。パラリンピックの強化選手でもあります。レースを始めて間もない頃、国内では障害者のヨット競技人口が少なくレース自体も少ないので、自分のレベルがわからず、無謀にも2006年障害者のヨット世界選手権に出場しました。ビギナーズラックなどありえず結果は最悪。ビリでなかったのがせめてもの救いでしたが、かなり打ちのめされて帰ってきました。もっと練習して、数年後にまた挑戦したいです